過去の事例紹介 〜魚たちも登れる川を目指して〜
- 河村 幸宏

- 2025年10月12日
- 読了時間: 2分
こんにちは。
建設コンサルタントAC-Souingの中園です。
今回は過去に手がけた業務の事例として、熊本県球磨郡にある砂防ダムの魚道計画をご紹介します。
砂防ダムは、土砂災害対策や治水上欠かせない施設ですが、一方で魚類などの水生生物にとっては遡上を阻む障害物にもなりえます。
そのため、魚道の設置は非常に重要な視点です。
■魚道の概要と対象魚種
この現場では、ダム整備にあわせて延長115m、内空1000×1400mmの階段式魚道を設置しました。
対象魚種は、代表的な回遊性淡水魚であるアユです。
魚道の形式については、当初、アイスハーバー型やバーチカルスロット型なども検討しましたが、
当時の遡上実績の知見や施工事例、用地や施工条件などを踏まえ、階段式魚道を採用しました。
■計画時に工夫したポイント
この魚道で特に工夫したのが、入口の位置と集魚対策です。
通常、魚は落下水のある場所(ダム本体直下)に集まりやすいため、
魚道の入口は本堤のすぐ下に設けることが多いのですが、
この砂防ダムでは中央部に設けたスリットに流木が堆積するリスクが高かったため、
入口機能の維持を考慮して、さらに下流の既設固定堰(写真手前)まで魚道を延長し、そこに入口を設けました。
また、入口に魚をうまく誘導するため、固定堰のすぐ上流の川底に自然石を斜めに配置した潜り堰を設け、
平常時の流れを魚道側に寄せることで、魚が迷わずに入口へ集まるよう工夫しています。
写真は、竣工直後の魚道の様子です。
まだ通水前の状態ですが、全体の構造がよくわかるタイミングでの一枚です。
■最後に
本件は、砂防ダム整備のなかで魚道設計と維持性の両立を図った事例の一つです。
生態系への配慮が求められる今、こうした設計はますます重要になっていくと感じています。
これからも、構造物の合理性だけでなく、自然環境との調和を意識した計画を大切にしていきたいと思います。



