建設コンサルタント業務とAI活用 〜DX推進の流れと今後の業務変化〜
こんにちは。
建設コンサルタントAC-Souingの中園です。
新年度を迎えましたね。
今回は少し視点を変えて、最近よく耳にする「建設コンサルタント業務におけるAI活用」と「今後の業務変化」について、私なりの考えを整理してみたいと思います。
■国土交通省の動向とDX推進の背景
近年、建設分野では国土交通省を中心に、i-Constructionの推進やBIM/CIMの原則適用など、デジタル化(DX)の流れが急速に進んでいます。
その背景には、建設業界が抱える以下のような構造的課題があります。
・建設技術者の高齢化と担い手不足
・労働生産性の向上
・インフラの老朽化への対応
・激甚化する自然災害への備え
これらに対応するため、設計・施工・維持管理を通じた
データの一元化・活用(CDE:共通データ環境の整備)や、
AI・ICT技術の導入が国を挙げて進められている状況です。
■建設コンサルタント業務におけるAI活用の現状
こうした流れの中で、我々建設コンサルタントの業務においても、AIの活用は徐々に広がっています。
ただし現時点では、高度な設計判断そのものをAIが担うというよりも、以下のような周辺業務での活用が先行しています。
・報告書のたたき台作成や要約
・打合せ記録(議事録)の整理
・基準類や既往事例の検索
・資料・写真の分類整理
これらは従来、技術者が手作業で多くの時間を割いていた部分であり、
AI導入による業務効率化の効果が比較的明確に現れている領域です。
■今後、変化が想定される業務領域
今後、BIM/CIMの普及とCDEの整備がさらに進むことで、建設コンサルタントの業務には次のような変化が想定されます。
・設計条件や検討プロセスのデータ化・共有
・事業監理における情報の一元管理
・工程・品質・出来形情報の可視化
さらに、過去の設計事例やデータの蓄積が進めば、AIによる比較案の提示や検討補助といった活用も、実務レベルに入ってくる可能性があります。
■一方で「変わりにくい」業務領域
一方で、設計業務の本質的な部分については、現時点、あるいは将来的にもAIによる代替は限定的だと考えています。
・現地条件の把握(地形・地質・水理特性など)
・施工性や維持管理を踏まえた計画判断
・地域条件や関係者調整を考慮した合意形成
特に土木分野では、数値化が難しい自然条件や、経験に基づく総合的判断が多く求められます。
最終的な意思決定において、技術者の関与は不可欠です。
■今後求められる技術者像
これらを踏まえると、今後の建設コンサルタントの技術者には、次のようなスキルがより一層求められると考えられます。
・AIやデジタルツールを前提とした「業務を設計する能力」
・複数条件を統合して最適解を導く「判断力」
・判断根拠を関係者へ分かりやすく説明する「コミュニケーション能力」
すなわち、業務の重心は「図面や報告書を自ら作成すること」から、
「条件を整理し、判断し、その妥当性を説明・調整すること」へと、
徐々にシフトしていくのではないでしょうか。
■おわりに
AIはあくまで強力なツールです。
重要なのは、その活用によって生まれた「時間的余力」をどこに振り向けるかだと考えています。
現場をよく観察すること、条件を正しく理解すること、そして関係者に対して丁寧に説明すること。
建設コンサルタントとしてのこうした基本的な役割は、どれだけテクノロジーが進化しても変わることはありません。
どんなにAIが進歩しても、最後は現場で長靴を履き、自分の頭で考える仕事である。
私はそう思っています。
新年度も、新しい技術の進展を柔軟に取り入れながら、地に足のついた業務を一つひとつ丁寧に積み重ねてまいります。



